「なぁ、羽華」

「ヒロ?」


座り直した私たちは、瑠海にぃの残したパフェをお持ち帰りのお皿に移していた

ヒロは、私の方は見ずに手を動かしながら言った


「何で、あいつなんだ?」

「え?」

「あんな、なに考えてんのかわかんねー奴、どこがいいんだよ」


表情を変えずに喋ってるつもりなんだろうけど、耳はほんのり赤いし、口をすぼめて、どこか探るように訪ねてきたヒロ


「ありがとう、心配してくれてるんだね」


「心配とかじゃねーよ!ただ、何でなんだっていう疑問」


頭をガシガシかきながら、顔を赤くしたヒロ


小さい頃から変わらない、その表情に笑みがこぼれた



「惚れたもん負けなんだよ、こーゆのは」


私がはにかむように笑えば、不機嫌そうに眉を寄せたヒロ


そう、私の負け


でも、



「先輩を好きになって後悔なんてしてないんだよ?私ね、本当に幸せなの。だって、先輩の隣に並べるなんて、思ってなかったから……」


あんなにたくさん告白して


毎日想いを届けて



先輩のことを一番好きっていう自信は大いにある


でも、それなのにこんなに不安なのは……



「……羽華、帰ろっか」

私が黙ったのを見たからなのか、瑠海にぃが俯いていた私の頬を両手で包み込むと、上を向かせてくれた


「うん……あ、待って、最後に先輩に会いたいから、先にお店出てて?」

「……え、行かせたくないんだけど?」

「ちょ、顔、ヤバイよ、瑠海にぃ」


思い切り顔をしかめると、私の肩を抱き寄せてうーうー言ってる瑠海にぃ


私から離れない瑠海にぃの腕を掴んで、ひっぺがすように席を立ったヒロ


「……三分だけ待ってる」

「…うん!」

「三分だかんな!それだけしかこの鬼畜兄のこと抑えてらんねーからっ」

「ありがとー!」


ヒロに口を塞がれてモゴモゴしてる瑠海にぃに謝ってから、先輩が消えていったレジ方向に向かう



冬休み中、やっぱり会いたいって頼んでみよう


真剣にお願いしたら、きっと会ってくれるよね……?



やっぱり、クリスマスに一人は悲しいし……


ねぇ、先輩


一日でいいの



会ってくれませんか……?