*・゜*。..・*


「うぅ……羽華、俺もう食えない」

「………そう」

「え、冷たい」


あれから三十分


瑠海にぃがデカ盛りパフェを食べている間、ずっと先輩を眺めていた




格好いい……腕をまくって洗い物をしていても


暑そうに髪をかきあげて細い目で鬱陶しそうにお客様を見るところも


格好いい……


正直、バイトのことを私に教えてくれなかったのはモヤモヤするし、なんでがいっぱいなままですけど…


なんかもう、格好いいし、感謝、眼福



「私もバイトしたいなぁ」

「はぁ?駄目に決まってんだろ」

「……出た。海にぃの過保護」

「ヒロは黙ってな」


瑠海にぃのいかにバイトが危険かっていうお説教が隣から聞こえてくるけど、コーヒーを入れ始めた先輩を眺めている、私には何も聞こえない


だったんだけど……



「モガァッ!?」

「俺の分も食ってよ」


正面に座ったヒロが、私の口にスプーンを突っ込んでくるもんだから、鼻から変な音が出てしまった


「ちょっ、先輩にブス顔見られたらどーするのっ!!」


「羽華は俺に似ていつでも可愛いからだいじょーぶだぞ?」


ドヤ顔してそう言った瑠海にぃの後ろから、小さなお持ち帰りのお皿を持ってきた先輩が、瑠海にぃの口を手で塞いだ


「おにーさんには似てないですよ?羽華はなんてゆーか……んー…」

「く、九条湊っ、ぐるじぃ!!この手は何だよっ!!」

「え、瑠海にぃ、ずるい……」


口元に手を当てて考えている先輩


なになに?エンジェル?マイエンジェルとか言ってくれるのかな??




「……コバエ?そーだ、コバエっぽいよね、羽華って」


「湊先輩……そんなに嬉しそうにひらめかないでください」

「九条湊…お前はやっぱり羽華と一緒にはいさせられねーなっ」


湊先輩に掴み掛かった瑠海にぃは、人差し指で湊先輩のおでこをグリグリとしている


先輩は、全然気にしていない様子で目を細めて瑠海にぃの頭をナデナデしてる


う、羨ましい


余裕そうな態度の湊先輩にさらに怒り始める瑠海にぃ

けど、


「あの、俺も納得できないんですけど?」

「え、ヒロ?」


湊先輩を真っ直ぐ見て言ったのはヒロで、突然のことに瑠海にぃの動きも止まった