「ちょっ、瑠海にぃやり過ぎ!ヒロの首もげそうだよ!」

「知るか、泣き喚めいてうるせぇから、いっそのこと、もげちゃえばいい」

「瑠海にぃ、これっ、これやるからっ」


ヒロが持ってきていたリュックから何かを取り出した


それは………




「……こんなんで機嫌取ろうとか、なめてんだろ」


「……あぁ、喜んでもらえたみたいで良かった」


「瑠海にぃ…」



ヒロの頭は鷲掴みにしたままだし、悪態もついてるけど…


その手に持った、……プリンを頬を赤らめながら嬉しそうに見ている様子からヒロのご機嫌取りは成功したみたい



「…んで、何しに来たんだよ?」

「いや、だから帰ってきたんだって、いつもみたいに休み期間は羽華家に世話になっから」

「……撤回、プリン一個じゃ足りねー」


すでに、食べ終えたらしいプリンのゴミをヒロの目の前に突きつけると、またヒロを外に出そうとヒロの服の襟を掴んだ


「ちょっそれはねーだろっ、海にぃっ!!」

「聞こえなーい、出口はこちらでーす」


ズルズルと引きずられていくヒロ


「羽華ああああっ」

「ヒロ、毎回飽きないね」


毎年、大きな休み期間になると家に泊まりにくるヒロ


その度にこの茶番を繰り返す二人

そして最後は……


「海にぃ、これっ、これも渡すからっ!!」

「……一週間だけだからね」

「おっしゃあああ」


ヒロの渡した"何らかの紙“


二人ともいつも私には見せてくれない


最初こそ、見せてとせがんだけれど、何があっても絶対に見せてくれないので諦めた


「ヒロ、瑠海にぃとこれからラーメン行くんだけど、一緒に行く?」

「いや、違うし、デカ盛りパフェだし」

「海にぃの奢りなら行く!」

「お前は、自分で払えよ?」

「……うす」


大人しくなったヒロの頬を引っ張りながらドSの表情を浮かべている瑠海にぃを見て、私までゾッとした


先輩には内緒で買った、先輩が持っているマフラーと似たマフラーを首に巻いて、私は外に出た



先輩、何してるかな



私はいつも考えてるんだよ



先輩も、少しは私のこと思い出してくれたりするのかな?



相手と同じ大きさの気持ちを返すのって難しいのかもしれない



求める方も、求められる方も