「おいお前ら、さっさと席つけよ〜」
今日もヨレヨレのジャージ姿にあくびまで引っさげて現れたのは、担任の原先生。
30代半ば、独身、彼女なしとの噂。
まあ彼女がいればこんなくたびれてないよね、なんてお節介を心の中でやきながら、再び窓の外へと視線を移すと、そよそよと揺れる緑の葉たち。
…桜、いつの間にか全部散っちゃったな。
授業中に葉桜を眺めるのが好きだったから、少し寂しい。
「まあ今日のHRは特に話すこともないんだけど、イベント委員に伝達があってだな」
右から入ってくる原先生の声はゆったりと左へ流れ。
「今日の放課後、夏休み前にある球技大会の打ち合わせあるっぽいから委員はよろしく頼むぞ〜」