「あ、俺1年C組の八重梓です!」
「は、はぁ」
「すみません、つい声かけちゃって」
ついってなんだ、ついって。
照れたように笑ったその子は可愛らしい名前をしていたけれど、どう見ても女の子ではなかった。
きりりと整った眉、ぱっちり二重の大きな瞳、すっと通った鼻筋、色気のある唇。
そんな誰もが羨むようなパーツがバランスよく配置された小さな顔と、艶のある黒髪にゆるくかけられたパーマ。
絵に描いたような今どきイケメンが、そこにはいた。
「うわ、八重王子!?」
「お、おうじ…?」
いや、確かに王子様みたいな見た目だけど、いきなり何言い出すの小松くん。