ひとりの部屋は、自分の好きなものばかりで落ち着くけれど、この空間に自分以外のひとが存在したら、そしてそれがお喋りしたり、一緒にいておだやかな気持ちになれる人ならきっと、すごく嬉しいだろうな。

思いながら、包丁でネギを刻んでゆく。

お互いに軽くつまめるものを作って、1時間後に律さんが私の部屋に来てくれることになっている。

楽しみだなぁ。

気がつけば、ハナウタを歌っている。

大量のネギを刻んで、ひと息ついた瞬間、玄関のチャイムが鳴った。

あれ…?思ったより早いな?思いながらも、

「いらっしゃい!」

弾んだ気持ちで、ドアを開けた。