「あの…良かったら、もし、良かったら。少し、一緒に呑みませんか?安心してください。なんにもしませんから」

今度はおどけたように、手のひらを自分の胸に当ててみせた。

「なんだか、あなたと喋るのが、楽しくて」

穏やかなまなざしは、ぬくい温度を思わせた。

「私も、同じこと、考えてました」

素直な言葉が口から飛び出す。

そのことに、自分自身びっくりして。

「…あ、じゃあ…」

こっち?こっち?

律さんが、自分のアパートと私のアパートを交互に指差した。

「…あ、それじゃあ…」