「「…あの!!」」

お互いに背中を向けて、歩き出したはずなのに、同時に振り返って同じ言葉を口にしている。

お互いに、ぽかんとして、しばらく見つめ合う。

オレンジ色に、全身包まれて。

ふふ。

先に笑ったのは律さんで。

ふふ。

私もつられて笑い出す。

口元に拳を当てて笑う律さんは、どうぞどうぞ。さっき、レジを私に譲ってくれたみたいに手のひらを差し出した。

いえいえ、律さんが。

私も笑いながら、律さんに手のひらを差し出し返した。