仕事が終わって、暖かな夕方の街をゆっくり歩く。

右手には、律さんの真似して選んだ、ミルクティー。

たぶん、律さんが言っていたであろう公園に差し掛かって、ゆっくりと園内に足を踏み入れた。

「…わ…!」

花壇には、惜しげもない数の色とりどりのチューリップ。

律さんは、どの角度から見たんだろう。

楕円形の花壇に沿って、歩いてみる。

右へ左へ、頭をもたげるチューリップたち。

なんだか、面倒くさそうにも恥ずかしそうにも見えて、笑ってしまう。

「…あ、」

思わず声をあげたのは、花壇の正面のちょうど裏側、ひときわ真っ赤なチューリップの前のレンガの上。

「林檎…」