私たちが通う高校は、自宅から徒歩20分。
その途中で、小さい頃からの親友と合流して向かう。
「おはよー!ふたりとも」
いつもの待ち合わせの場所、私と伶を見つけた透は大きく手を振りながら明るい笑顔をくれた。
「朝から元気だな」
「いや〜、早く2人に会いたくて!」
苦笑する伶に、お調子者の透が両手を広げて答える。
「春休みの間もしょっちゅう会ってただろ」
伶は透のハグをスッとかわして、透は私だけをハグする。
「おはよ」
透の胸に頭を預けて、私も透をぎゅっとハグした。
そんな様子を見た伶は、
「コラ、玲奈に抱きつくな!!」
慌てて透を私から引き離す。
「いたたた!ちょっ、ひっぱるなよー!」
「玲奈から離れろ」
「なんだよ〜。玲奈だってオレをハグしたんだぞー。怖いおにーちゃんだな伶は〜」
透はいつもふざけたり冗談言ったり、その場をパッと明るくしてくれる。
今も、私と伶の微妙な距離感を察してくれたんだと思う。

「おはよー!!相変わらず仲良しね」
3人で騒いでいると、後ろから声をかけられた。
「あ、おはよう、紗弥」
「こんなとこでふざけて遊んでると遅れるよ!ほら、いこっ」
紗弥に促されて、私たちは4人で連れ立って歩く。

伶と透、高校に入って仲良くなった紗弥。
この3人がいてくれるから、毎日をなんとかやり過ごすことができている。

私達が通っている高校は、学年が変わってもクラスはそのまま持ち上がりで、4人ともずっと同じクラス。
私にはそれが安心材料だった。
1人でいることが苦手な私。
いつも、3人が気にかけてくれる。
でも、そんな甘えた生活も、もうすぐ終わりかな…。

今日から、高校生活最後の年がスタートした。