パタパタとリビングへ駆け込むと、ちょうどママが私の分の朝食をテーブルに並べてくれているところだった。

「玲奈おはよう」
すでに朝食を終えてコーヒーを飲んでいたパパが、一番に気づいて声をかけてくれる。
「おはよう、パパ、ママ」
「おはよう。玲奈、早くごはん食べないと、新学期から遅刻になっちゃうわよ」
ママに言われて、急いでテーブルに着く。
隣に座っている伶は、もうすぐ食べ終わりそう。

「伶、玲奈」
並んで朝食をとっている私たちを見ながら、向かいに座っているパパが口を開く。
「今日からまた2週間ほど留守にするから。戸締りしっかりして、ケガとかしないように過ごしてね」
「2週間どこいくの?」
伶がパパに質問する。
「ドイツに戻って、各地に遠征かな。何かあればすぐにケータイに連絡して」
「わかった」
ふたりのやりとりを、私は朝食を食べながら黙って聞いていた。