伶は、小さな頃からとても優しかった。
私に対して怒ったことは一度もない。
喧嘩もしたことない。
穏やかで、頼もしくて、我慢強い。

私の自慢の、双子のお兄ちゃん。

昔から、一切、負の感情を見せないから、
見せないようにしてくれてるから、
無理してないかな?
我慢してないかな?
って、
私は声の調子で伶の気持ちを判断するようになっていた。

「玲奈〜?間に合わなくなるよー!」

廊下から聞こえてきた伶の声で、ハッと我に返る。
学校に行く準備しなくちゃ!!