「お〜い、玲奈。オレがいるのにそんな顔するなよー」
気づくと、透が向かいの席からわたしの顔を覗き込んでいた。
「しょんぼりしてんな!」
透はそう言って、私の頭をくしゃっと撫でる。

しょんぼり?
顔に出ちゃってたのか…

「玲奈行くよ。買い物つきあって」
透は私の手をとって立ち上がらせると、そのまま歩き出した。

はたから見ると、デートしてるみたいだ。
だけど違う。
透は、一人でいたくない私に付き合ってくれてるだけ。
私が寂しくないように、楽しませてくれる。
伶がいないときはいつも。
いつも何も言わずに、そばにいてくれた。

だけど、これっていつまでかな。
もう、将来を考えなくちゃいけない年齢になってる。
いつまでも誰かに守ってもらってばかりじゃいられない。
なのに、あの日からずっと…時が止まってるの。

3年前のあの日から。