ニコラスに彼岸花の模様が浮かんで数日、イヅナの姿は学校にあった。イヅナのそばにはヴィンセントとレオナードもいて、ぼんやりとニコラスを見つめるイヅナを心配げに見ている。

ニコラスは、イヅナに消しゴムをぶつけた子どもたちと校庭でキャッチボールをして遊んでいる。名前も教えてもらい、女の子の名前はソフィア・カナリー、そばかすのある男の子はカイル・スノー、ぽっちゃりした男の子はマルクル・ララと言うそうだ。

「先生、投げるよ〜!」

「おう!」

マルクルの投げたボールをしっかりとニコラスは受け止め、カイルに投げる。そしてカイルがキャッチすることができれば、「すごいじゃないか!」と褒める。そんな彼が人狼など、未だにイヅナの中では信じられない。

「イヅナ」

信じられない、そう思うイヅナに二人が声をかけてくる。しかし、振り向いて返事をすればいつニコラスに奇襲をかけるのかという話になるのはわかっている。イヅナは聞こえないフリを貫く。

ニコラスの腕に彼岸花の模様が浮かんだ時、ショックでイヅナはその場に崩れ落ち、放心状態になったイヅナをニコラスが宿に連れて行ってくれた。その時、彼岸花の模様にレオナードとヴィンセントも気付き、人狼はニコラスだと確定したのだ。