「高梨さんは、アレルギーとかお持ちですか?」

エステシャンのスタッフにそう聞かれ、私は大きな声で「はい!」と返事をした。

「花粉にほこり、猫の毛、あとエビもダメです。
たまに、青魚も…」

「え? もしかして、高梨さんって、極度のアレルギーとか?
薬疹とか出たことある?」

「薬疹はないです」

何を基準に極度というのだろう。
子供の頃は酷かったけど、今はだいぶましにはなっている。
でも、安心できるのかは分からない。
人によってその基準は様々だから。

「マネジャー、どうしますか?
高梨さん、パックしても大丈夫か、ちょっと心配です」

そのスタッフは準備万端の私を前にして、少し怖気づいている。

「大丈夫ですよ、全然」

私はそう言うと、もう一度、チェアに深く座り直す。
いつでもどうぞと言わんばかりに。