「というか、紅葉の効用とか誰か調べる人はいなかったのかな?
スマホで検索しても簡単にその情報は出てくる。
紅葉の中でも特にイロハモミジには、アンチエイジングや保湿やたくさんの美容効果が証明されていて、お茶だったり食べ物だったりに使われたりしているのを…」
慈恩はそう言った後、どういうわけか私を見た。
それも、ジッと、長い時間。
私の隣に立つ唱馬はそんな慈恩の変化に気付いている。
だって、唱馬は慈恩の事を意味もなく睨んでいるから。
「それは、全てのコースを終えた最後に、ハーブティではなく紅葉茶を出す事にしています」
鰺坂さんは怯まずに大きな声でそう伝えた。
「それはそれでいいんじゃない」
鰺坂さんの意見はその言葉で受け流される。
慈恩は少し冷たい男に感じた。
私の前で見せる慈恩の柔らかい雰囲気は、ここでは一切見られない。
そんな慈恩を唱馬はまだ睨んでいた。
「それで、そのイロハモミジでパックを作ってみた。
韓国コスメの研究機関で働いている知り合いに相談してみたら、簡単に作れるそうだ」