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【人間界】


人間界で白蘭に色々と教わった紅蓮は自分も働くことを決心した。


本来であれば人間と深く関わってはいけない。


それは人間の寿命が短いからだ。長寿の私達が何年たっても姿形が変わらなければ流石に人間達も不審がる。


だが、そんなに長いこと留まるわけではない。


月影が帰ってくるまでのわずかな間だ。


初めて行う人間界での仕事だったが、皇太子として常に政務を行っている紅蓮にとっては大したことではなかった。


「おいおい。また呼び出しか?紅蓮」

「勘弁してくれ」


同じ職場の人間に茶化される。


男ばかりの酒屋の力仕事なのにも関わらず紅蓮はよく人間の女から告白をされた。


そのたびに、想い人がいると断ってきたが何度もこうでは仕事を変えるべきか迷っていた。