家に帰るのは憂鬱だ。でも、朝倉さんへの想いがこの胸にあるから、心は本当の自分でいられる。明日も頑張れる!

教室を出ようとドアに向かうと、ドアが急に空いて驚く。目の前にいたのは朝倉さんだった。ギターケースを抱えて、片手には大好きだと話していたミルクティーを持って、僕を見上げている。

「あ、朝倉さん、部活じゃなかったっけ?」

ドキドキしすぎて、自己紹介をした時の朝倉さんみたいになってしまう。朝倉さんは、僕をあの日みたいに真っ赤な顔で見上げている。その無防備な唇に触れたい。華奢な体を抱き締めたい。そんな気持ちを抑えるのに必死だった。

「部活、今日休みなの忘れてたの」

朝倉さんはそう言った後、僕に飲みかけのミルクティーを差し出す。そしてニコリと微笑んだ。

「一口、あげる」

ミルクティーなんて飲んだことがない。朝倉さんがくれるなんて、とても嬉しい。でも、僕は女の子じゃないから、女友達とするような気持ちで受け取れないよ……。

「朝倉さん、飲めないよ。だって僕はーーー」