◇
「なぁ、俺ってなんで彼女いねーの?」
「知るかよそんなの」
今日も隼人にくだらない話を聞かされている。
「自分で言うのもあれだけど…俺って結構顔いいじゃん?」
「…そーゆとこじゃね」
まぁ、確かに隼人は男の俺から見てもイケメンだと思う。
「は〜彼女ほしい」
「お前なら簡単に出来るだろ」
「お、乃亜クン慰めてくれるの?」
「なわけ」
「…いいよな〜お前は。
羽衣ちゃんという可愛い彼女がいてさ」
「お前……羽衣ちゃんとか可愛いとかまじでやめろ」
「相変わらずかよっ…
どうせ明日のバレンタインも羽衣ちゃんから貰うんだろ?」
「…バレンタイン。」
…バレンタイン。
すっかり忘れてた。
…ってか早速羽衣ちゃんって呼ぶんじゃねーよ。
「お、乃亜クン忘れてた感じー?」
「…あぁ」
…すげぇ、今になって気になってきた。
バレンタインなんかいつも全然気にしてなかったのに。