2人きりの病室で、これと言って話をすることもなく、時間は過ぎていく。

「罰が当ったのかな?」
沈黙に耐えかねて、フフフと自虐的に笑ってみる。

その言葉を聞いた瞬間、新太さんを包む空気が変わった。

「何の罰だよ?」
「え?」

それまでの優しい眼差しと愛しむような表情から、少し意地悪な顔になった新太さんがじっと私の方を見る。

「それは・・・」
結構強めの眼光で見つめられると言い淀んでしまう。

「嘘をついて俺に買い物を頼んで、病室を抜け出した罰か?」
「いや、それは・・・」
確かに嘘をついたけれど。

「あれだけジッとしていろって言ったのに、1人で塙に会いに行った罰か?」
「・・・ごめんなさい」
もう、謝る言葉しか出てこない。

私は新太さんに甘えてばかりで随分心配をかけてしまったんだと、改めて感じた。

「バカだなあ」

それまで椅子に座っていた新太さんがベットに腰かけて、私を抱き寄せる。
私も抵抗することなく体を預けた。