「おはよう」
「おはようございます」

俺のダブダブのスエットを着て目を覚ました彼女は、すっかり化粧が落ちていつも以上に幼く見える。

「何か作ろうか?それとも、食べに出ようか?」

一人暮らしのせいかたいした食材がある訳ではないが、週に二度家政婦さんが来てくれているから朝食くらいは作れる。

「いいですよ。奥様が待っていると思うし」
「そうだな」
きっと、一晩中心配していたはずだ。

「あの、コーヒーだけもらってもいいですか?」
「ああ」

俺は立ち上がってキッチンへ向かった。


「手伝います」
「いいよ」

コーヒー1つ入れるのに手伝いはいらない。

「先生は何か食べてください」
2人分のコーヒーを入れる俺を見て、申し訳なさそうな顔。

「じゃあとっておきのパンを温めるかな。君も一口食べて」
「いえ、私は」
「何、二日酔い?まああれだけ飲めばねぇ」
厭味ったらしく顔を覗くと、
「二日酔いなんかしてません」
意地っ張りな彼女。

フフ、かわいいな。