−ピンポーン



色々考えているとチャイムが鳴った。

私は慌てて出ると。

「書留です」

ヘルメットの下は少し照れ笑いの尚志。

私も思わず照れてしまった。

「今日はゆっくりして、明日からは頑張ってね」

書留を渡しながら尚志は言った。

「私で役に立てるかどうかわからないけど」

「…大丈夫だよ」

私を見つめる尚志の目は優しかった。

そしてバイクに跨がり、エンジンをかける。

「俺としてはいてくれるだけで十分だよ」

「えっ?」

尚志の、呟いた言葉がエンジン音で掻き消されて上手く聞き取れない。

「じゃあ、また明日」

尚志は左手を上げて、ニッと笑って立ち去った。



その後ろ姿を見送りながら、何故か涙が出てきた私。

どうしてこんなに切ないのだろう。