――それから一時間後。
「ちょ、え?こ、心愛、歌え、ないって、言って、なかっ、たっけ……?」
怜ちゃんらしくない動揺した姿に驚く。
「うん、歌えないよ?」
聞く専って言ってたよね?
私が歌えるわけない。
「――じゃあなんで90点台しかでないわけー?!」
「たまたまだよ。まぐれ、まぐれ」
普段よく聞いてたから案外歌えたのかもしれないけど。
「おかしいおかしい!神様どういうことなの?!」
「ちょ、怜ちゃん落ち着いて」
カラオケ行くとテンション上がるって本当だったんだな……。
「もうっ!こうなったら、私も心愛みたいに歌えるようになるまでカラオケ通うもん!」
「怜ちゃん歌うまいじゃん」
「――ケンカ売ってんのかっ?!?!」
今はじめて、怜ちゃんが鬼に見えた。