「だれのことを言ってるんですか?」
「は?」
「わたしの知っている先輩ではないので。わたしはわたしの見ている先輩を信じます。でも、いろいろ心配してくださってありがとうございます」
早く屋上に行かないと、先輩を待たせちゃってる。
だから頭を下げて女の先輩の横を通り抜けようとした。
でも、手首を掴まれて止められる。
「は?ちげぇよ。要の前から消えろって言ってんの」
「でも、先輩の話によると伊月先輩は自分で距離をとる方なんですよね?それなら、わたしが嫌になれば伊月先輩から離れるんじゃないのかなぁ……?」
悲しいけど、嫌になったら一緒にいる必要はないし。
『きらい』とはっきり言われるのは正直立ち直れそうにないから、しれっと離れてもらったほうがいいかも。
でもわたしは先輩と一緒にいたいな。
離れてほしくないな……。
想像しただけで少し苦しくなった。
一緒にいたい。もっと話したい。
あれ、これって……。
「むかつく!あんた超むかつく!あんたなんか……」
「なにしてんだよ!」