力が緩くなった手から自分の手を抜く。
同時に離したから、これで言い合いっこなしだ。
「ケンカしないように!です!」
それだけ言うと軽く走って理沙ちゃんの元へ行った。
理沙ちゃんはわたしが走ってくるのに気づき、止まって待ってくれている。
「おはよう、理沙ちゃん」
「おはよ。なんかすごいことになってたね」
「空気がピリピリしてたよ……思わず走ってきちゃった」
「いいんじゃん。あたしと一緒に行けるし」
「あはは、理沙ちゃんかっこいい」
理沙ちゃんと並んで歩きだす。
思わず逃げてきちゃったけど、やっぱり翔ちゃんと先輩も気になるな……。
振り返ればふたりは話しているように見えた。
「気になる?」
「うん。ケンカみたいになってるのに、抜けてきちゃったから」
「ケンカするのが悪いんだから、優乃は責任感じなくていいのよ」
「うん……でも気になるからあとでふたりに聞いてみるね」
「なんでそうなったの?」
理沙ちゃんの質問に考える。
なんで、なのかな。