翔ちゃんがわたしの手を掴んで引っ張る。
驚いて前によろけるも、あいているほうの手を先輩に掴まれた。
「なんすか?」
「優乃と一緒に学校行く」
「は?」
「行こう、優乃」
「え、え?」
いきなりの展開に思考がついていかない。
と、とりあえず……。
「ふたりとも手を離してください……!」
両手繋いで学校へ行くなんて、幼稚園児でもないからさすがに恥ずかしい。
なんか急にまたドキドキするし……。
「お前から離せよ」
「は?そっちが離せばよくないっすか?」
わたしと翔ちゃんじゃなくて、先輩と翔ちゃんがケンカしてない……?
ここだけ空気がピリピリしている気がする。
ど、どうしよう……。
「あ、理沙ちゃん!!」
あわあわしていると数十メートル先の道から理沙ちゃんが出てくるのが見えた。
わたしの声に気づいた理沙ちゃんが振り向く。
「あの、理沙ちゃんと登校しますね!!」