「っ、だって凛々サンが、自分のこと、「大人の女」なんて言うからっ、」
はー苦しい!って笑い過ぎて涙まで流しているよ。
「大人の女が間違っているとでも!?」
「だって凛々サン童顔だし、言動も仕草もどこか幼いし、年上に思えない」
なんて失礼なっ!
「ねぇ、凛々サン?」
まるでとても愛おしいものを見るような優しい表情で、今度はそっとわたしの頬に手を添えると、
「俺の、彼女になってよ」
そう言ってそのまま手が触れていた頬にキスが落とされる。
たったそれだけで顔が真っ赤になるほど熱を帯びたのが自分でもわかった。
「お、大人を、からかわないでって、言ってるでしょっ」
「からかってなんてない。俺は本気だよ、凛々サン」
真っ直ぐな瞳。痛いほど正直な想い。
ちゃんと伝わってくるのに、それでも、からかわれているだけだと自分の中にいる頑固者が待ったをかけてくる。
「だってわたし、王子より6歳も上だし、」
「その問題はさっき解決したよね?」
うっ…。
「だって王子モテるでしょう?何もわたしじゃなくても、もっと可愛い子が、」
「俺は凛々サンがいいの。自覚ないかもだけど、凛々サンは凄く可愛いんだよ?」
ううっ。
「そ、それに、高校生と社会人が付き合うのって、条例や法律に引っかかるんじゃ…」
「結婚前提なら問題ないから大丈夫だよ」
「…!けっ、結婚前提って…!?」
なんだその聞き捨てならないワードはっ!
「ん?俺、凛々サンと結婚するつもりで口説いているんだけど?」
何か問題でもあるの?ケロッとしている王子を見る限り嘘を言っているようには…。けれど、
「わたしっ、結婚を考えていた相手にこっぴどく振られたばかりなのよ!?それなのに振られたその日に別の人と結婚前提でお付き合い始めるなんて出来ないよっ」
しかもその相手が高校生なんて!