side.AMANE
__信じ難い光景だった。
店から飛び出して行った凛々をすぐ追った。
なのに、探せど探せど見つからなくて。
そこで初めてケータイに連絡すればいい事に気付いて、電話をかける為に裏路地に入った時だった。
微かだけど、凛々の声が聞こえた気がした。
「____っ」
何を言っているのかまでは聞き取れないが、間違いない。凛々の声だ。
この辺りは夜になるとほとんど人通りがなくなる。
声が聞こえたのはこの角を曲がったところ。
急いで向かうと、
電柱の外灯の下、俺の名を呼び崩れ落ちた凛々の姿がそこにあった。
そんな凛々を抱き止めたのは、武石。
「っ、凛々!!」
バッと武石から凛々を奪い取るが、何度凛々の名を呼んでもピクリともせず、表情は苦しげに歪んでいた。
それに何より凛々の長いまつ毛には涙の雫が沢山ついていて、泣いていたことがわかる。