そう思い、ふらふらっとコンビニに向かって歩き始めたとき。

「っ、凛々ちゃん!」

いま、一番聞きたくない声に名を呼ばれた。

「っっ、」

その声の主から走って逃げればいいのに、身体が石になったみたいにピクリとも動かない。

その代わりに、なぜだか涙が滝のように流れ始めた。

「…凛々ちゃん…」

そんなわたしに気付いたのかどうなのか分からないけれど、声の主は固まったままのわたしを強く、けれど優しく抱きしめてきた。

「…いやっ、」

腕だけが何とか動かす事が出来たので、必死に自分の身体から離そうとするもビクともしない。

「ビックリしたよね、怖かったよね。…本当にごめん」

「も、いいっ…。離してっ」

「凛々ちゃん」

離してと言うたびに、わたしを抱き締めるちからが強くなってゆく。

「離し…っ、あ、まね…」

苦しくて、苦しくて、彼氏の名を呼んだ時、声の主は少しだけわたしを自身から離し、次の瞬間荒々しくわたしの唇を自身のそれで塞いだ。