「あっ!は、はいっ!なんでしょう!?」
「凛々ちゃんは、彼氏のこと、好き?」
「…え?」
「凛々ちゃんの話しを聞いていると、彼氏が凛々ちゃんのことを一方的に好きで付き合うことになってひとりで舞い上がっているだけのように感じるんだけど、凛々ちゃんは彼氏のことちゃんと好き?」
「そ、れはっ…」
…痛いところを突かれてしまった。
王子のことは好きだ。でもそれは果たして恋愛感情なのか、自分でも解らずにいるのが本音。
わたしは王子のこと、恋愛対象として見ているのだろうか。
わたしが考え込んでいると先生はもう一度「ふむ」と何かを確認した感じでひとり頷き、
「その様子じゃまだ僕が付け入る隙はありそうだね」
何の邪気もないような笑顔で。
「え?」
「好きなんだ。凛々ちゃんのことが、ずっと前から。今までは立場上我慢してたけど、もう無理かも」
とても愛おしいものを見つめるような魅惑的な瞳にわたしが映り、大きいのに繊細でしなやかな手はわたしの頬に添えられる。
「せ、せんせ…っ」
先生の色気にやられて、どうしたらいいのかわからないわたしは、ただ視線を泳がした。
でも、もう片方の頬にも先生の手が添えられて顔を先生の方へ向けられて、それさえも許しては貰えなくなった。
そして、先生の顔が少しずつ近付いてきて。
そのまま、優しいキスを、された。