思えばこの間振られたばかりの元彼もそうだった。

「今まで付き合ってきた娘の誰よりも可愛い」と言っては、色んな人にわたしの事を紹介したがった。

わたしは他人とコミュニケーションをとるのが苦手で、苦痛だと何度も訴えたが、結局聞き入れてもらえないまま振られた。

自分ではよくわからないのだが、わたしの見目は誰に対しても自慢出来るそうで。

でも、わたしはもっと中身を見て欲しくて。

我が儘を言えばこの忌々しい病気を理解して欲しくて。

外見よりももっと見てほしいところも理解して欲しいところもあるのに。

「グスッ」

情けなくて涙が出てくる。

王子は考え方とか物の価値観が大人びているからと思っていたけれど、やっぱり高校生。子供なのだ。

「…王子のバカ」

ぼそりと溢したとき、

「凛々ちゃん?」

思いもよならない人からの声が。

「わっ、どうしたの?そんなに泣いて」

「せっ、先生〜っ」

堪らず抱き着いた。唯一の理解者、武石先生に。

そしてすぐ近くにある小さな公園のベンチに腰をおろすように促されて、その通りにすると先生は近くの自販機からアイスコーヒーとオレンジジュースを買って持ってきてくれて、わたしにオレンジジュースを渡すと隣に腰掛けた。

「で?何があったの?良かったら話し聞くよ」

優しく微笑みかけてくれる武石先生はやっぱり大人だなぁ。