急いでカバンから鍵を出して開ける。


「おじゃましま~す」


ズカズカと家に入る彼。


…ん?あれ??


靴を脱いでいる彼に問いかける


「私、なんで漆原くんがここにいるか知りたいって言いましたっけ?」


知りたいのは知りたいけれど彼に聞いた記憶がない。


「ん?あぁ。顔に書いてあった」


ふぇ?


「いやー、美紅ちゃんってわかりやすいんだよね」


え、私ってそんなにわかりやすい?


自分の顔をペタペタと触る。


っていうか今初対面なのに名前で呼ばれた!?


ただそれだけで顔が赤くなっていくのがわかる。


「あはは、照れてんの?かわいーね」


かわいい!?


家族以外の異性に初めて言われてもっと顔が赤くなる。


…だめだ。心臓に悪すぎる


『俺以外の男、家に入れちゃだめだからね』


半月前、兄が引越し前に言った言葉を思い出す。


はっ!?


漆原くんをやすやすと入れてしまった。