『も〜なんでそんなに怪我するのよ!』


半分怒りながら怪我の手当をする。


何気なくいったこの一言。


『実は俺…』


この一言ですごい事実が突きつけられた。


まっすぐ私の目を見る兄。


小さくか細い声で


『俺実は…暴走族の総長なんだ。』


思わず手に持っていた消毒液をおとしそうになる。


い、今なんて…?


『暴走族の総長なんだ』


兄の言葉が頭の中をぐるぐるする。


あのお兄ちゃんが…?


それは私にとって衝撃だった。


その日からなんとなくお兄ちゃんを避けてしまうようになったのだけど


数ヶ月したある日珍しく日が暮れる前に帰宅した兄。


私を見るなり号泣しながら


『お前は…美紅は何があっても俺の妹だからなぁ!


と、抱きついてきたことがあった。


何を当たり前なことを…と思う反面ちょっと嬉しかった。


あの日からまた元の関係に戻れた、気がする。


そんな兄も県外の大学に合格し半月前から一人暮らしをしている。