その時ガラガラとベランダに繋がる窓が開かれた。


え…と振り返る前に温かいものに包まれる。


漆原くんに…ハグされてる!?


意識した途端体が熱くなるのを感じた。


「藍斗さーん」


『お、樹じゃねぇか』


私はまだ耳に携帯を当てているため耳元で話される。


「藍斗さん、美紅ちゃんのことは任せて下さーい」


『おう、任せるぞ。俺の大事な妹だから手出したり傷つけたらただじゃ置かないからな』


「冗談に聞こえないからやめてください」


『冗談じゃねえから』


電話越しに笑い合う二人とは違って必死に体温を下げようと頑張る私。


だめだ。落ち着け、落ち着け自分…。


ていうかもうすでに今手を出されてる気が…


『まあそうゆうことだから。意地っ張りで怒りっぽい美紅ですが頼みます』


「じゃ!」といってブチッと電話を切る兄。


嵐のようなさり方だな、おい。


「改めてよろしく美紅ちゃん。」


抱きしめられた状態のまま離してくれない。


やばい…だいぶ下がっていた体温がまたっ…


「はは、ほんと男に免疫ないんだね。藍斗さんが言ったとおりだ」


お兄ちゃん!?


余計なことを!


たしかにない方だとは思うけどさ!