ガタン、ゴトン　ガタン、ゴトン


沢山の人をのせた電車が音を立てて通り過ぎていく。


季節は春。


桜が散りかけた4月後半。


まだちょっと風が冷たい。


「はぁ…」


今日も友達できなかったな…


一ノ瀬美紅。高校2年生。


新学期が始まってはや二週間。


友達作りにおいて最初が大事だというのに風邪で一週間も休んでしまっていた。


病み上がりに学校に行くと案の定グループは出来てるわけで…


私が入る隙間なんてないよお(泣)


話せる子は何人かいるけど、特別仲がいい子はいない。


それになんかヒソヒソされてるし。


まあそれは一年生のときからなんだけどさ…


「はあぁ…」


さっきよりも大きなため息が漏れる。


家に帰っても一人だし…


そう。私はどこに行っても一人。