「わっ…!」



投げられるようにベッドに落とされた。

すぐに起き上がろうとしたけど、囲われるようにして視界が塞がれてしまって。

捕らえるかのごとく両手が挟んでくる。



「っ、」



覆い被さってきたハヤセは何かに耐えるような顔をしていて。

それでもまっすぐ見つめてくる、熱の帯びた動物みたいな目。



「ハヤ…セ…?」


「エマお嬢様、」


「っ…!」



だめ、そんな耳元で話しちゃだめ…っ。

そんな甘く囁いちゃだめ…っ!!



「エマお嬢様」


「っ、だめ、ハヤセ…、それ嫌…っ」



くねっと身体を捻らせても、わたしの真っ赤に染まる耳を見つけては唇を寄せて何度も名前を呼んでくる。


びりびり痺れを切らしたように、身体が思うように動いてくれない…。

はあっと息詰まるような吐息さえもわたしを弄ぶように。



「俺に抱いて欲しいんでしょう?」


「あっ、だ、抱くって…っ、」


「誘ったのはあなただ。責任は取ってもらいます」



ぎゅっと被さってくるけれど、わたしが想像していた「抱く」と、ハヤセが考えている「抱く」はまったくの正反対に思えてきた…。

何かに追いかけられるような切迫感に怖くなる。



「大人っぽくなって綺麗になって、その姿を見せたい男がいるのですか?」


「う、うんっ」


「…誰、ですか?」