テレビの料理番組を自然に見てしまうくらいで。
誰かに必要とされて、誰かに好きだと言ってもらえる。それだけで、もう自分が生きている意味があるんだな。大切に想える相手がいて大切に想ってくれる人がいる、ただそれだけ。本当にただそれだけで自分が生きてていいんだって思える。中学生の時にでなかった答えだけど、今ならなんとなくわかるような気がした。
この幸せがずっと続けばいいのになぁ‥。ノブの腕枕で眠りながら、そんな事を思った。
いつものように朝がきてノブは仕事へ向かう。
「いってくるね。」
「うん。いってらっしゃい。」
の毎日の挨拶。1時間後仕事へ行ったはずのノブから電話がきた。
「もしもし？」
あたしはどうしたのかと思った。
「もしもし！？ごめん忘れ物した！机の引き出しの中に、茶色い封筒入ってるんだけど、その中身ＦＡＸしてくれない？急ぎなんだ！番号メールするから！！」
「うんわかった！」
早口なノブにつられて、あたしも早口で返事をした。
机の引き出しって‥開けちゃいけないんじゃ…。引き出しに伸ばした手を途中で止めた。でも急いでたし、しょうがないよね！