いろんな色が混ざったイロ。『黒』って素敵な色だけど、不吉だったり暗いイメージがある。
ちょっと変わったカラスは、その黒い自分の姿が嫌いだった。綺麗な色に、綺麗な羽根に憧れていた。
この世界には、数えきれないくらいの色があるのに…どうして僕は、黒一色なんだろう……

だから一生懸命に、緑色の草、白やピンク、黄色い花を自分の体に付けて誇らしげに空高く飛んだんだ。誰もがその姿を不思議に思った。可愛らしいと思う人もいた。でも、仲間のカラスは、可愛らしいなんてこれっぽっちも思わない。カーカー馬鹿にして、みんなで笑ったんだ。
どうしてかな。みんなとちょっと違うからって、少し目立つからって、どうして笑われなきゃいけないの?馬鹿にされなきゃいけないんだろう。
みんなと同じ考えだけが、正しいわけじゃない。みんなと同じことをしていくことだけが、生きて行く道なんかじゃない。
そんなカラスは、人間が羨ましかった。いろんな色のファッションを楽しんでる人間が。

カラスを見かけると、あたしはそんなことを思ったりもする。好きな男も黒い服が似合う人だったりもして。
あたしの名前はナツ。名前のとうり夏生まれの女の子。