私の周りにヤンデレしかいないんだが

「ええ〜!四人ともヤンデレだったんだ。それは災難だね〜」

「……嬉しそうに言うのやめてくれるかな?そもそも、異性の声が聞こえる薬を飲ませたの雫ちゃんだよね?」

蒼先輩の心の声を聞いた翌日、私は雫ちゃんにそのことを話していた。相変わらず本人は楽しそうだけど。

でも、放課後の教室で雫ちゃんと話す時間は楽しい。実はヤンデレだったあの四人のことを考えると胃が痛くなりそうだけどね。

「でも、薬の効果があるのはあと三日くらいでしょ。頑張ってるじゃない!」

「まあ、あと三日であんな恐ろしい心の声が聞こえなくなるのは嬉しいよ。あの四人のことは恐怖だけど」

そんなことを話していると、ガラリと音を立ててドアが開く。振り向けば、十くんがふわりと微笑んでいる。

「美紅ちゃん、一緒に来て?」
(断っても連れて行くけど)

笑顔の裏にある心の声が怖い……。雫ちゃんの方を見れば、親指を立ててニコニコ笑っていた。いや、助けてよ!

「ちょっと美紅ちゃん借りるね」
雫ちゃんに笑いかけ、十くんは私の腕を掴み、私を連れて教室を出て行く。

私、どこに連れて行かれちゃうのかな……。



十くんに連れて来られたのは屋上。夕焼けが綺麗でロマンチック。ずっと十くんの心の声で「可愛い。閉じ込めたい」って聞こえてるけど……。

「夕焼け、すごく綺麗でしょ?一緒に見たくて」
(美紅ちゃんをやっと独り占めできる!)

「うん、とっても綺麗。ありがとう」

でも、夕焼けを見るなら全然いつでもいいのに、どうして雫ちゃんとの話を中断させてまで連れて来たんだろう……。すると、十くんの顔がゆっくりと近付いてくる。

「み、十くん?」

「今日はね、美紅ちゃんと出会って三ヶ月の記念日なんだよ。だから、どうしても言いたいことがあるんだ」
(絶対に断らせない!僕のものにする。離さない)

何を十くんが言いたいのか、もう予想はついてる。ううん、もう答えだよね。

「君のことがすーーー」

十くんが言いかけた時、バタンと大きな物音がした。振り向けば龍羽くんに、悠利先輩と蒼先輩がいた。ヤンデレが全員揃っちゃったよ。
「俺の美紅、俺の婚約者に告白しようとするとかふざけてんの?」と蒼先輩。
(殺す!殺す!美紅は閉じ込める!)

「は?あんたまで何言ってるの?美紅ちゃんは俺と結婚するんだけど」と悠利先輩。
(美紅ちゃんにあんなに近付いて……。美紅ちゃん無防備すぎ!お仕置きしなきゃね?男は消す)

「美紅先輩、美紅先輩は僕のお嫁さんになってくれるんですよね?僕を選んでくれないと……」
(僕のものにならないなら、美紅先輩のことを無理やりにでも……。どうやったらあの男は消せるのかな?)

心の声がやっぱり怖い。さすがヤンデレと感心しちゃう。いや、感心してる余裕なんてないんだけど。

「美紅ちゃん、美紅ちゃんは僕を選んでくれるでしょ?だって僕は君のこと愛してるんだから」と十くん。
(愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる)

この四人のヤンデレから逃れられる術を、誰か教えてくれませんか?






初めましての方、初めまして!お久しぶりの方、こんにちは!エイミーです。

今回は、ヤンデレと逆ハーレムをテーマに書きました。四人の誰を選んでも束縛、バッドエンドだと監禁される運命となっております笑。実際に付き合うとなったらかなり迷う選択です。

異性の声が聞こえるというファンタジーな薬を登場させましたが、書いていて、ちょっと飲んでみたいなという興味が湧きました。職場は男性が少ないんですが、心の声が聞こえるって面白そうだなと思ってます。悪口とかが聞こえるのは怖いですが……。

読んでいただき、ありがとうございました。また次の作品でお会いしましょう。








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