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その日帰宅してからも気分が晴れなかったユウナは、机の引き出しからボロボロになった一枚の写真を取り出した。


それは3年B組の集合写真だったがあちこちに穴が開いていて、今にも破れてしまいそうだ。


その写真の下に古いノートを置くと、ユウナは画鋲を取り出した。


サエとキミの顔や体を必要に突き刺していく。


力を込めすぎて下のノートまで突き刺してしまう。


「勉強ができるのがそんなに偉い? 運動ができるからってなんなの?」


ブツブツと口の中で陰口を叩きながら、何度も何度も穴をあける。


「こいつらも同じ。見てみぬふりしやがって」


興奮状態になってきてユウナは他のクラスメートたちの顔にも画鋲を突き刺し始めた。


ブスブスと穴が開くたびにユウナの顔には笑みが浮かぶ。


最後に担任の先生の顔に穴を開けてようやく満足したように画鋲から手を離した。


「あぁ、スッキリしたぁ!」


本人へ向けてはなにも言えないユウナは、こうして写真をボロボロにすることでストレス発散をしていたのだ。


机の引き出しを開けてみると、同じ集合写真が何枚も印刷されていて、そのどれもに穴が開けられていた。


「さぁて、テレビでも見ようっと!」


ユウナはすっかり機嫌がよくなり、スキップをしながらリビングへ向かったのだった。