そんな甘えた感情が浮かんできたとき、ノック音がしてドアが開いた。


「ユウナを迎えに来ました」


その言葉に驚いて振り向くと、ドアから入ってきたのはキミとサエの2人だったのだ。


2人は優しい笑顔を浮かべてこちらへ近づいてくる。


ユウナは咄嗟に身構えてしまうが、先生の前でなにかする気はなさそうだ。


「あら、いい友達がいるじゃないの」


先生は2人を見て微笑んだ。


『友達なんかじゃない!』そう言ってしまいそうになるのを、どうにか我慢した。


この2人の前でそんなことを言ったら、どんな仕返しが待っているかわからない。


「友達も迎えにきてくれたし、もう大丈夫よね?」


笑顔で聞いてくる先生にユウナは頷くしかなかった。


本当はもっと色々なところがいたい。


お腹にも背中にもボールを当てられた。


それよりなにより、心が一番痛かった。


だけどそれが言えないまま、ユウナは2人と共に保健室を出ることになってしまったのだった。