咲希と教室に入ると、クラスの女子が異様な盛り上がりで騒いでいる。

「聞いた? 2年の宮野先輩に彼女がいるんだってよ」

「それ、すごくショックなんだけどー」

「この前、2年で一番美人な先輩の告白を断ったんだよね。きっと彼女はすごくかわいい子か美人さんなんじゃないの」

「彼女はこの学校の人なのかな」

「まさかー、この学校だったらあの告った先輩よりかわいい人なんていないでしょ? きっと別の学校の人だよ」

うわー、うわー、うわー! 一体、噂ってどんな風に変化してるの?

私は思わず咲希の制服の袖を掴んで固まった。

「柚葉、凄いことになってるね。もう笑っちゃうわ」

「咲希ぃ。どうしよう。絶対に名乗り出せないよ」