「ダン、この嘘ってさ、咲希にはちゃんと本当のことを伝えてもいい?」

「そうだよな。友達にまで嘘をつくのは良くないもんな」

「じゃあさ、ダンは一輝先輩に話す?」

「んー、言わない。言う必要がない」

言う必要がないの? ダンにとっては大した問題ではないってことなの。

私一人が色々と考えすぎているのかな。

ダンと話しながら歩いていると、もう駅の改札に着いてしまった。

ダンと私は反対方向の電車に乗るからここでお別れ。

「ダン、パンケーキご馳走してもらっちゃって、ありがとう。本当は私が借りた電車代のお礼をしなきゃならないのに」

「いいんだよ、もうお礼はしてもらっただろ。MGRに参加してくれるのが一番のお礼だから」

「それは私も楽しみにしているから、全然お礼になっていないよ。今度は私が何かご馳走するね。楽しみにしてて」


私の言葉を聞いて、ダンが優しく微笑んだ。