その時、私のスマホが震えた。

「一輝先輩、すみません。着信みたいなので出てもいいですか?」

「おう。早く出な」

スマホの画面を見ると、ダンからの着信だった。

「えっ? ダンから?」

私の心臓はあり得ないくらいドキドキして。

宮野暖の文字が私のスマホ画面いっぱいに出ていて。

「ん? 暖って、宮野暖?」

そう言いながら私のスマホ画面を覗き込む一輝先輩。

なんとなく一輝先輩に見られたのが恥ずかしくて、携帯に出るのをためらってしまった。

すると一輝先輩が私の手からスマホを取り上げ、あろうことかダンの着信に出てしまった。

あれ? こんなこと昨日もあったよね? 

たしか、咲希にスマホを取られて。その時の相手もダンだったね。

ふふふっ。なんか咲希と一輝先輩って似てるかも。

じゃなくて!!

「一輝先輩! スマホ返して下さいよ」

私がスマホを一輝先輩から奪おうとしたら、一輝先輩の手が私のおでこを押さえるものだから、スマホに手が届かなくなって。

まるで漫画のように両腕をブンブン空回りさせてしまった。