バスケ部の練習が休憩に入ったところで私は1階に降りて、咲希に声を掛けた。

「咲希、もうそろそろ帰るね。咲希は練習頑張ってね」

「あっ、柚葉! ちょっと待って。せんぱーーい! 一輝先輩!」

咲希があろうことか一輝先輩を呼んでしまった。

「よっ! 柚葉ちゃーん」

そう大声で私の名前を呼びながらこちらへと歩いてくる一輝先輩。

なんだか周りの視線が痛い。

私は思わず咲希の後ろに隠れて、咲希にしか聞こえない声で、

「咲希、なんで一輝先輩を呼んじゃうのよ」

咲希が私の質問に答える間もなく目の前に一輝先輩が来て、

「やっぱり柚葉ちゃんは俺に対して冷たいなー。隠れなくてもいいだろ。傷つくかんな、俺でも。あははっ」

豪快に笑う一輝先輩。

やっぱりこの人、苦手かも。