「ダン、ずっと連絡くれるの待ってたの。ダンは大丈夫なのかなってずっと心配してたよ」

「うん、本当にごめんな。俺さ、香梨奈が亡くなったことをどうしてもユズに言えなかった。香梨奈に会わせてしまったことを後悔してるんだ」

「えっ? 後悔って、どう言うこと?」

「ユズを香梨奈に会わせなければ存在は知っていても現実味が無かったのに。会わせてしまったから、きっとユズの中で香梨奈の死が重くなったと思うんだ。実際そうだったろ。ピアノも弾けなくなるくらいだったんだろ」

「そんな事言わないで。私ね、香梨奈ちゃんと会えて良かったって思ってるよ。たくさんお話して、恋バナもして、香梨奈ちゃんが私をユズさんって呼んでくれて、二人でダンの話をして。会えなかったら何一つ残るものが無かった。会えたから香梨奈ちゃんのことをずっと忘れないでいられるの」

「そう言ってくれてありがとう。俺さ、前に香梨奈と約束したことがあって。香梨奈が好きになってくれる人を好きになるって。そう約束したんだ。香梨奈はユズのことが好きだった。お兄ちゃん、今度はいい人に出会えて良かったねって、香梨奈がさ・・・手紙に書いてくれていたんだ」


ダンの話をそこまで聞いて、涙が止まらなくなって。


「香梨奈ちゃん、私も大好きだよ、ありがとう」


私はダンに抱き着いて泣いた。


「ダンの方が辛くて泣きたいのに。私、泣き虫でごめんね」

「ううん、ユズにはたくさん助けてもらってる。俺の方こそごめんな」

私の背中に腕を回し、その回した腕の力を少し強めたダンが震えているのが伝わってくる。

私はこの人を、守るんだって。守ってもらうだけじゃだめ、私もダンの支えになりたいって、この時思ったの。