控室に移動すると先生とたっくんが私たちを拍手で迎えてくれて、それぞれにハグをされ祝福を受けた。


「たっくん、ダンが来ることを知っていたの?」

「それな、ダンにどうしても花束を渡したいってお願いされてさ」

「そうだったの、ダン」

「ずっと前からハルにお願いしていたんだ。優勝してもしなくても花束は俺が渡したいからって」

「全然知らなかった。ダンがお花を持って立っているから本当にびっくりしたんだから」

するとたっくんが、

「俺さ、柚葉がコンクールに出場しないって言い出した時に焦ったんだぞ。ユズを出場させないと絶対にダンに怒られると思った」


「さ、貴春と私は先に審査員室に行って手続きをしてくるわよ。柚葉ちゃんと彼氏さんはここでゆっくりしていてね」

先生が私とダンに気を利かせてくれて、たっくんをここから引っ張り出して、二人きりにさせてくれた。