香梨奈が小学生になった時、俺は六年生で登校班の班長だった。

小学一年生の持つ荷物は体よりも大きくてとても重いから、上級生が持ってあげて登校するのが俺の班のルールだった。

もちろん香梨奈の荷物も俺が持ってあげるんだけど、同じ班には一年生が他にもいて、俺は毎朝三人分の荷物を抱えて登校した。

「お兄ちゃん、荷物重いから香梨奈の分は自分で持つよ」

他の一年生は持ってもらって当然な態度だったのに、香梨奈だけは荷物を自分で抱えて俺に渡さないんだ。

香梨奈はそんな子だった。