「なあ、ユズ。夏休みになったら、行く? 夢の国」
「覚えていてくれたの? 嬉しい! 行きたい」
今、私たちは香梨奈ちゃんが入院している病院の近くの喫茶店にいて、初デートはどこへ行こうかと計画を立てているところ。
初めて香梨奈ちゃんと会ってから2週間が経ち、今日も香梨奈ちゃんの体調がいいから面会できると連絡が来て、さっきまで香梨奈ちゃんとガラス越しに面会していたの。
香梨奈ちゃんがお兄ちゃんとユズさんが仲良くしてくれてて嬉しいって言ってくれて。
香梨奈ちゃんはとっても素直でとてもかわいい。
「ダンがお兄さんなら私は香梨奈ちゃんのお姉さんになりたいな」
「ははっ、ユズがなれるとしたら義理の姉ってやつだろ」
「義理のお姉さん? なにそれ」
「ユズ、知らないの? 俺たちが結婚したらユズは香梨奈の義理のお姉さんになるんだぞ」
「けっ、結婚?!」
まさかダンからそんな話が出ると思わないから、びっくりしてダンから目が離せなくなってしまった。
「そんなに驚く? 俺はこれからもずっとユズと居たいと思ってるのに。ユズは冷たいなあ」
「そっ、そんなことないよ。私だってダンと一緒にいたいよ。でも急に結婚とか言うから。驚いたの」
「そうだよな、ユズは俺より料理できないしな。ユズと結婚したら俺がご飯作ることになるのか? ま、それもいいけど」
「そうやってバカにして。私もお料理は少しずつ教わってるもん。卵焼きも上手になったよ」
「お! それなら俺に明日のお弁当作ってよ。たまには一緒に食べよう」
「うん、いいよ。すっごいお弁当作るから」
「ユズ、自分でハードル上げてね? 大丈夫かよ」
「楽しみにしてて。私、頑張って作るね」
「ん。楽しみにしてる」