「あとね、香梨奈ちゃんが言ってた私の写真なんだけど、写真なんて撮ってないよね」

「・・・。撮って、ない」

「嘘ばっかり! ダンのスマホ、見せて!」

「イヤだよ。誰が見せるかよ」

「見せてよ。ね、お願い。ダンってば」

「ダメ! 無理無理!ほんっと無理」

「ケチ!ダンのケチ。じゃ、もういいもん。ダンなんて知らない」

私はダンからプイっと顔を背けて拗ねた振りをした。

「ユズ、ね、ユズ、怒ったの?」

「知らないもん」

「ユズ、こっち向いて。ね、ユズってば」

ダンが私の顔色を伺うから、それがおかしくって。

「ふふふっ、じゃあスマホ見せてくれたら機嫌直してあげる」

「もー! なんで俺はユズに勝てねぇんだよ。はい、スマホ」

「やった。ロック解除!ソレッ」

ダンのスマホの電源を入れると、そこに出てきたのは・・・

「えっ? この写真って」

そこに映しだされたのはダンと初めて行ったパンケーキ屋さんでダンが自撮りしてくれた時の写真だった。